始めることから始めよう

2022年2月14日

事業であれ、趣味であれ、習慣の改善であれ…

何か新しい事を始めるには中々エネルギーが要りますよね。

物事はスタート時、“走り出し”に一番大きなエネルギーが必要だと言われています。

「始めたい事があるけど、どうやって始めたらいいか分からない」…「始めようとは思うけど中々切っ掛けが」と重い腰を中々上げられずにいる方も多いのではないでしょうか。

そして、新しいチャレンジを始めるには、それなりに不安も付き纏うことかと思います。

正確に未来を見通す事なんて誰もできないのですから、チャレンジに不安は付き物です。

大きなチャレンジであればある程に、不安も大きくなるでしょう

しかし、先の見えない不安から、いつまでもその場で足踏みしているだけでは何も始まりません。

「地図が手に入るまでは、一歩も動けない」

そんな状況に陥ってはいないでしょうか。

何かを始めるには未来予知も地図も必要ありません。

先が見えないから不安なのであれば、先を見に行けばいいのです。

誰かの描いた地図をなぞるのではなく、自分で地図を描けばいいのです。

単純明快です。

何かを始めるには、「始めればいい」のです。

とはいえ、右も左も分からぬのにどうやって?ノウハウは?

気になることは多々あると思いますが、そんな事は些細な事です。

今回は「"始める”の始め方」そんなお話です。

不恰好から始めよう「リーン・スタートアップ」

何かを始めようと思う時、いきなり何でもかんでも完全完璧にしようと思うのは誤りです。

綿密な計画?そんなものは今すぐゴミ箱へぶち込んでしまいましょう。

ある程度の雛形となる構想や、「それを始める理由と目的」があれば十分です。

先にデザイン(設計図や計画)があってプロダクト(製品)が完成するという、デザイン先行型のスタートアップはあまり実用的ではありません。

*デザイン先行型でなければならないプロダクトもありますが、それは後に述べます。

不恰好でも、不完全でも、どんな不具合があろうが、まずはスタートさせる事が肝心です。

ここで一つエピソードをご紹介します。

質VS量

とある陶芸クラスにて、生徒を二組に分けた実験を行いました。

一方は作品を「質」で評価し、もう一方は「量」で評価すると告げられます。

「質」のグループは、質のみによる評価なので、最終日までに自分が最高だと思う物を作り上げる。

「量」のグループは最終日までに作り上げた作品の総重量によって評価を下すとされました。

この実験の結果、面白い事実が明らかになります。

全作品中、最も「質」の高い作品を出したのは「量」を求めたグループでした。

検証と軌道修正

さて、このエピソードが物語るものは何か、考えてみましょう。


「量」のグループは、実際に作品を次から次へと作って試行錯誤を重ね、粘土の扱いも上手くなっていった結果、質の高い物を作り出せた。

しかし、「質」のグループは、最初から完璧な作品を作ろうとするあまり、頭で考えることに時間をかけ過ぎてしまった結果、後に残ったのは、壮大な理論と粘土の塊だった。


つまり、デザイン先行で初めから完璧な物を作ろうと考えても行き詰まってしまう。

まずはとにかく作って検証し、軌道修正を繰り返す事が、結果的にデザインを上回る質を作り上げるという事です。

ある意味、進んで失敗を繰り返すことによって、より最適化した形にブラッシュアップする事ができるのです。

リーン・スタートアップ

このエピソードのように、最初に完璧なデザインを求めるのではなく、まずは「走らせる」ことから始め、検証と軌道修正を重ねていくアプローチを「リーン・スタートアップ(小さく始める)」と言います。

昨今のIT関連事業も、スマホアプリやソフトウェア開発を見れば、リーン・スタートアップによって行われている事が分かります。

これらは最初から完成形として世に送り出される事はありません。

検証に必要な最低限の機能を持たせた試作品(β版)を走らせ、ユーザーからのフィードバックを得て、改良を加えてアップデートを繰り返して行きます。

何かを始めたいのなら、まず「小さく始める」を最初の一歩にしましょう。

いきなり複雑で大きな事を始めようとする必要はありません。

最低限実装した製品(MVP)

リーン・スタートアップにおいて、検証に必要最低限の機能を持たせた試作品を「最低限実装した製品M V P(Minmum Viable Product)」と呼びます。

早い段階でMVPを公開し、できる限り多くのフィードバックを得ることによって、その製品が「当たりか、ハズレか」を判断し、「ハズレ」ならばその段階でスタートアップ計画を破棄する。(早い段階なら計画を破棄してもダメージは少なくて済む)

逆に「当たり」であれば、次にどのように改良を加えていけばいいかを考える。

早い段階でMVPを公開することによって、「その製品がウケるか否か」早く判断する事ができるのです。

失敗は神様

始めたい事があるけど、尻込みしてしまう…

その原因の多くは「失敗を恐れる」からでしょう。

「失敗したらどうしよう…失敗は恥ずかしい」

大抵の人は「失敗=お終い」そう思っているのではないでしょうか…

しかし、そうではありません。

先程の陶芸のエピソードになぞるなら、「量」を求めたグループは数多くの失敗を積み重ねた結果、「質」を求めるグループより質の高い作品を作り出すことが出来ました。

つまり、失敗のおかげです。

失敗は汚点でも終了でもありません。

大切なのは「失敗から学ぶ」という姿勢です。

失敗は創造の神様なのです。

失敗にネガティブなイメージを結びつけるのは終わりにしましょう。

失敗すればするほど、良いものが出来上がります。

どんどん進んで失敗しましょう!

正解を求めない

この世の中には、「たった一つの答え=正解」なんてものは存在しません。

変化の激しい世の中では、苦労して導き出した正解でも、時と場合によって、正解では無くなる事が往々にしてあります。

一つの正解だけを追い求める「正解主義」では立ち行かないのが現実社会です。

矛盾に満ちた現実社会において「こうあるべき!」という考えの先に待っているのは袋小路です。

融通の効かない「正解主義」は捨てて、その時々の状況や環境によって最適化して修正を繰り返して進む「修正主義」へシフトチェンジしましょう。

見切り発車してはいけないこと

ここまではリーン・スタートアップに基づいてお話を進めてきました。

状況に応じて修正可能な事柄にはリーン・スタートアップはとても理に適ったアプローチですが

リーン・スタートアップは言い方を悪くすれば、言わば"見切り発車”です。

全ての事柄に適用して良いというものではありません。

「とりあず」で、始めては行けない物事もあると理解しなければいけません。

それ何かといえば、人命や健康、安全に関わる事柄です。

例えば自動車産業や、医薬品…これらは検証のための試作品を世に出してはいけない部類です。

世に出してフィードバックを得る前に、徹底的に内側で安全性を検証しなければいけません。

試作品で人死んじゃった…よし!失敗だ!軌道修正!アップデート!

なんてことは、あってはいけないからです。

もちろん、安全性を徹底的に検証し、完成形として世に送り出したプロダクトでも、思わぬ不具合が見つかって事故が起こる…ということはあるでしょうが、この世に絶対はありませんから…

あくまで「後でアップデートすればいいや」と未完成品を世に出しては行けない物もあるという事です。

終わりに「行けばわかるさ」

さて、いかがでしたでしょうか?

今回は「始める」について色々と屁理屈を述べさせていただきました。

総括すると…

新しくチャレンジしてみたい事があるなら、まずは小さく始めてみる。
積極的に失敗を重ね、失敗から学び、検証し修正を繰り返して洗練させていく。


物事は「トライ&エラー」の積み重ねによって研ぎ澄まされていきます。

という感じですね。

冒頭でも述べたように、物事はスタート時、“走り出し”に一番大きなエネルギーが必要です。

しかし、一度走り出してしまえば、後は慣性の法則に則ってグイグイと進めるはずです。

煩悩を認め、高める

走り出しのエネルギーを生み出す効果的な方法は煩悩を認め、高める事です。

煩悩は動機のエネルギー源です。

人は何かを得るために、何かを始めます。

自分が得たいもの(煩悩)は、何であるか自分でしっかりと理解する。

自分の煩悩を理解し、砂漠で水を求めるように、喉から手が出るほどに欲してください…

もう、始めずにはいられなくなるでしょう。

*煩悩は世間的には穢らわしい物のように言われますが、決してそうではありません。人間が人間らしく生きるには煩悩は欠かせ無いものなのです。素直に己の煩悩を認めてあげましょう。

何事にも積極的にチャレンジして、人生をエキサイティングに楽しみたいものです。

行けばわかるさ

では、最後にこの言葉で締め括りたいと思います。

「この道を行けばどうなるものか、危ぶむなかれ。 危ぶめば道はなし。 踏み出せばその一足が道となる。 … 行けばわかるさ」